スマートヴィレッジシステム(SVS)
プログラムの概要
1.はじめに
東日本大震災に伴う東京電力福島第一発電所事故により、再生可能エネルギーへの期待がさらに高まってきました。しかしながら再生可能エネルギーは、発電可能量や特に供給の不安定さが課題となっています。このためマイクログリッドやスマートグリッドといわれる安定的な系統連携のためのシステムの研究開発が進められています。農林水産省でも「バイオマス推進基本計画」において、「バイオマス等の再生可能エネルギーを地域単位で統合的に管理するシステム(スマートヴィレッジ)の構築等を推進する」とあり、農村地域の自律・自給エネルギー施策として位置づけられるようになりました。
2.スマート・ヴィレッジ
スマート・ヴィレッジは、極めて限定された地域・施設において適用されることが予想されるため、供給可能な自給エネルギー(自然エネルギーやバイオマスエネルギー)も種類や出力及び発電期間が限定される場合が多く、導入する地域毎に様々な組合せが生じます。
このうち農業用水路を利用したマイクロ水力発電は、かんがい時期に左右されるものの比較的安定供給が可能なエネルギーといえます。また発酵メタンや木質等を用いたバイオマス発電は、バイオマス原料やバイオガスなどのストックが可能であることから、必要に応じて発電できる唯一制御可能な再生可能エネルギーといえ、発電量の予測は比較的容易です。
以上から、特に不安定な間欠性再生エネルギーである風力発電と太陽光発電について、実際に発電装置を設置して地域の気象条件等を踏まえた実証試験を行い、需要側の消費電力パターンに対し各発電施設の効率的な組合せを容易に把握する手法を開発することで、農村における常時及び災害時における被災初期のエネルギーの自律・自給システムの普及拡大に資することを目的としています。
開発の目的
- 農山漁村に豊富に存在しながら十分に利用されていない水力、太陽光、風力などの自然エネルギーにバイオマスエネルギーを含めた再生可能エネルギーを効率的に活用し、新たな自給エネルギーを得ることで、農山漁村の活性化、低炭素社会の実現や地球環境保全への積極的な貢献を目指す
- 農山漁村集落における、太陽光発電、小型風力発電、マイクロ水力発電やバイオマス発電等を総合的に組み合わせた発電ポテンシャルの把握が必要
- 地域の実情に応じた効率的な発電方式の組み合わせを求める簡易な手法がない
- 構想段階から専門的な技術を必要とするため、農村集落で導入の検討が行えるような簡易システムが必要
- 発電量の予測と検証の実証試験を行ない、最適な発電方式の組合せを求める支援ツールの開発が必要
シミュレーションソフト(SVS-1/SVS-2)の特徴
- 全国各地で検討が可能
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- 気象等データの収集・加工などの準備作業は不要
- 簡易に発電量を算定し、最適組合せ計算を行う
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- 担当技術者の作業労力の大幅な軽減
- 不足電力・余剰電力の発生時期と電力量が時間別で判る
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- 補完する発電設備、変換・貯蔵する設備の導入計画に活用可能
- 1種類の発電装置だけの検討も可能
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- 需要量に必要な太陽光発電パネル枚数を求めるなど
- 売電目的の発電計画の検討も可能
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- 但し、本ソフトの開発目的ではない
- 担当者が試算結果を加工することにより様々な活用が可能
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- 計算結果はExcelシートに出力されるので、任意に加工・編集が可能
得られる効果
- 全国農村集落の自然エネルギー・ポテンシャルを把握
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- 農村振興策の基礎的情報の整理が可能
- 電力需給計画のアウトラインを簡易に行う
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- アウトラインから必要な予算・工期を把握
- 具体的な機器の設計や設置の円滑な検討
- 全国の農村集落のエネルギー自給策の普及拡大に貢献
- エネルギー自給を核とした農村振興
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- 自給電力の農業利用、付加価値の創造、雇用の創出
- 災害に強い農村集落(災害時の緊急用電力としても活用)
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単位発電量の計算(SVS-1)
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発電組み合わせ計算(SVS-2)
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出力例 (1)
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出力例 (2)
必要システム
オペレーティングシステム(OS) | Microsoft Windows7 日本語版 |
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プロセッサ(CPU) | 1GHz 以上のプロセッサ |
必要ソフト | Microsoft Excel 2010 年間時別日射量データベース(METPV-11)??(※1) |
ディスプレイ | ディスプレイサイズ17インチ以上推奨 画面解像度 1024×768 ピクセル以上 |
メモリ | 1GB 以上のRAM |
マウス | 本体に対応し、日本語MicrosoftWindowsで使用可能なもの |
(※1)事前準備が必要です
単位発電量の計算(SVS-1)で用いる気象データベースは、NEDO(独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)、JWA(一般財団法人日本気象協会)による「年間時別日射量データベース(METPV-11)」です。
METPV-11は、太陽光発電システムの設計・発電予測シミュレーション用の標準的な気象データセットです。全国837地点の気象観測所とアメダス地点の全天日射量・日照時間・気温・風向風速・降水量および積雪深の6気象要素と、直達・散乱・斜面日射量データが1時間単位で収録され、日射量に着目して抽出した1990~2009年の20年間の平均年・寡照年・多照年の3種類のデータセットで構成されています。
予めNEDOのホームページから「METPV-11」をダウンロードし、ご利用のパソコンにインストールする必要があります。
METPV-11は、太陽光発電で傾斜面日射量による発電量を計算する場合にも有用なソフトです。
また同ページにある「日射量データベース閲覧システム」で、検討する場所に近い気象観測点を選定することができます。
なお、このシステムを使用したことでダウンロードした気象データベースに問題が生じてもNEDOに責任はありません。
プログラムのダウンロード
ソフトウェア使用許諾契約
最初に以下の使用許諾契約をお読み頂き、同意いただける場合に限りソフトウェアのダウンロードを実施してください。
[著作権]
本システムは、「農林水産省 官民連携新技術研究開発事業」の助成を受けて、一般財団法人日本水土総合研究所と共同開発したもので、著作権はNTCコンサルタンツ株式会社と一般財団法人日本水土総合研究所が保有いたします。
[免責特約の明示]
本システムを使用することにより発生した直接的、間接的な損害に対して作成者および掲載者は一切の責任を負いません。あらゆる損害の免責をご承諾いただくことを使用条件とします。また、変更した場合の動作不良等や使用中のトラブルについて、一切の責任を負いません。
さらに、本システムは無償配布のため、動作不良の修正、改版の義務を負いません。